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腹部大動脈瘤を知ろう

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腹部大動脈瘤とその症状

  • 腹部大動脈
  • 腹部大動脈瘤

腹部大動脈瘤の治療

  • 侵襲性の低い血管内治療
  • 人工血管に置き換える開腹手術

ステントグラフト治療

腹部大動脈瘤とその症状

腹部大動脈

大動脈は体内で最大の血管です。心臓から体の残りの部分に血液を運びます。大動脈の腹部にあたる部分を「腹部大動脈」と呼びます(図1を参照)。

腹部大動脈瘤

動脈瘤は、血管の弱くなった領域の拡張又は膨隆です。大動脈の壁は、年齢、病気、または外傷のために弱くなることがあります。これにより、大動脈壁が膨らみ、腹部大動脈瘤になる場合があります(図2を参照)。
膨らみが大きくなると、大動脈の壁が弱くなります。これにより、大動脈が破裂し、大量の内出血を引き起こす可能性があります。動脈瘤破裂は死亡を引き起こす可能性があり、直ちに担当される先生の診察が必要です。

症状

腹部大動脈瘤は、ほとんど自覚症状がないため、知らない間に大きく膨らんでいることがあります。腹部大動脈瘤がある人は、腹部の拍動感に気づいたり、おなかに拍動性腫瘤を感じられることもありますが、動脈瘤が小さかったり、肥満でおなかに脂肪がたまっていたりする場合は分からないこともあり、腹部の超音波検査やCT検査で初めて発見されることも少なくありません。動脈瘤は体の深部や主に腰に鈍痛を感じることがあります。腹部大動脈瘤が破裂した場合は、激しい腹痛や腰痛が起こります。破裂による出血多量で急速にショック状態に陥り、死に至ることもあります。

腹部大動脈瘤の治療

大動脈瘤は一旦形成されてしまうと、元のサイズに戻ることはありません。しかし、発見されたあとでも血圧を下げる薬(降圧剤)で血圧コントロールをすることにより、拡張する速度を遅らせ、破裂を予防することが可能ですので、これは非常に大切な治療となります。発見されたあとも血圧が高いままでいると、どんどん瘤が大きくなり、やがて破裂します。大動脈瘤の大きさと形によって、このような経過観察で良いか、手術的治療が必要かの判断をします。要は、破裂のリスクと手術に伴うリスクのバランスで治療法が決められます。

大動脈瘤が怖いのは破裂する恐れがある為で、腹部大動脈瘤が破裂すると、腹部あるいは腰に激痛が起こり、出血のため血圧が低下し、腹部が膨隆します。
腹部大動脈瘤の治療法としては、

  • 侵襲性の低い血管内治療
  • 人工血管に置き換える開腹手術

があります。

侵襲性の低い血管内治療

血管内治療は低侵襲な治療方法で、医師は、腹部を大きく切開する代わりに、鼠径部(体の左右にある腹部と太ももの間の領域)に小さな切開を加えます(図3)。
血管内治療では、人工血管にステントを取り付けたステントグラフトを用います。ステントグラフトで治療を行う場合には、両足の付け根辺りを約3~4センチ切開して、動脈にカテーテルを挿入し、瘤のあるところでステントグラフトを展開し、留置します。ステントグラフトが血管内に留置され、瘤に血液が流れるのをふさいで、瘤の破裂を防ぎます。開腹しないため傷跡が小さく、入院期間が短い(手術後2~5日程度)のが特徴です。
この手順は通常、局所麻酔、または全身麻酔で行われます。

腹部ステントグラフト内挿術は、金属製の骨組みに支えられたグラフト(人工血管)を、周辺組織を外科的に切開することなく、動脈瘤の長さを覆うように留置します。腹部ステントグラフトは、弱くなった血管壁を内側から補強し、動脈瘤が破裂するのを防ぎます。(図4)

人工血管に置き換える開腹手術

人工血管に置き換える開腹手術を行う場合は20-25cmほどの皮膚切開から開腹または後腹壁アプローチにて大動脈瘤を切除し、人工血管に置き換えます(下図を参照)。人工血管は所定の位置に縫い付けられ、代用血管となります。
開腹手術は通常、全身麻酔下で行われます。完了するまでに約3〜4時間かかります。患者様は通常、集中治療室で1〜2日過ごし、通常1週間入院します。全に回復するには、2〜3か月かかることがあります。
人工血管に置き換える開腹手術は、古くから行われている実績のある治療方法です。

腹部大動脈瘤のステントグラフト治療について