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胸部大動脈瘤・解離を知ろう

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胸部大動脈瘤・解離とその症状

胸部大動脈瘤の治療

  • 侵襲性の低い血管内治療
  • 人工血管に置き換える開胸手術

ステントグラフト治療

胸部大動脈瘤の治療

担当される先生の診断に応じて、主に3つの治療法を選択できます。

  • 内科的管理(薬で心拍数と血圧を管理する)
  • 人工血管に置き換える開胸手術(布製の人工血管を縫い付けることによって病変を治療するために、医師が胸部に大きな切開を加える手術)
  • 侵襲性の低い血管内治療(胸部を切開せずに、筒状のステントグラフト大動脈の中に留置し、血液の流れを変部から遠ざかるように変化させ、大動脈壁を補強する手技)

大動脈に病変が生じている場合、恐らくは生涯にわたって内科的治療が必要になります。ある種の大動脈の損傷についても、最初に内科的管理による治療を行う場合があります。内科的管理を必要とするかどうかについては、担当される先生と時間をかけて相談してください。たとえ内科的管理を受けている場合であっても、病変が悪化すれば、手術で病変を治療するように担当される先生から勧められる場合があります。治療としては、開胸手術又は血管内治療のどちらかを行います。

侵襲性の低い血管内治療

血管内治療は、低侵襲(胸部に大きな切開を加える代わりに、鼠径部に小さな切開を加える)の医療処置です。医師は、鼠径部(体の左右にある腹部と太ももの間の領域 )に小さな切開を加えます(図1)。この切開部から、布地と金属でできているステントグラフト(医師が大動脈の損傷部又は病変部内に留置する、金属製の枠組みによって支えられる布製の筒状材料)を内部に納めたカテーテルを血管に挿入し、大動脈(心臓から体の他の部分に血液を運ぶ主要な血管)の中の病変部又は損傷部まで血管内を進めていき、ステントグラフトを大動脈の中に留置します。図1胸部大動脈瘤血管内治療手術をイラストで示しています。この手術は解離その他の病変のいずれに対しても、同様の手順を使用します。この手術は大動脈の病変部/損傷部を保護し、破裂が生じる可能性を減らします。

一部の患者様の腸骨動脈(下半身に血液を運ぶ血管。医師は、大動脈に到達するための経路としてこれらの血管を使用することができます)や大腿動脈(左右の脚の太ももの部分に血液を運ぶ血管。医師は、大動脈に到達するための経路としてこれらの血管を使用することができます)は、このカテーテルを使用するには細すぎる場合があります。そのような症例の場合、医師は腸骨動脈に布製の筒状材料を縫い付け、その後でカテーテルを血管に挿入します。

病気又は怪我の性質に応じて、この手術にかかる時間は1~6時間です。この手術の後は、しばらく集中治療室に入り、さらに数日間入院することになります。手術後は通常、以下の入院期間が必要になります。

  • 胸部大動脈瘤:0~1日半、集中治療室に入った後で、2~7日間入院する
  • 解離: 2~12日間、集中治療室に入った後で、5~18日間入院する

患者様が他にも怪我をしているかどうかによっては、体の他の部分の怪我の治療を行うために、集中治療室又は病院にこれより長い期間滞在しなければいけない場合があります。

担当される先生は手術の内容を患者様と相談し、患者様の体の状態に基づいて、どのくらいの入院期間が予想されるかを患者様にお知らせします。血管内治療手術からの回復には4~6週間が必要になります。ステントグラフトの状態を観察するために、生涯にわたって画像検査を受けるために担当される先生のもとに通い続ける必要があります。大動脈の同じ部分に追加の手術が必要になる場合があります。

人工血管に置き換える開胸手術

開胸手術による治療(図2)手術を受ける場合、担当される先生は患者様の大動脈へのアクセスを確保するために大きな切開を加える必要があり、人工血管を縫い込むことによって、病変(様々な種類の血管の病変部又は損傷部。例えば動脈瘤、解離、外傷性の鈍的損傷など)を治療します。この手術は、あらゆる種類の病変、例えば動脈瘤、解離大動脈の内側の層に生じた亀裂によって大動脈壁の中間の層に血液が流れ込むことが可能となり、これらの層が分離する(解離)の原因になる状態)、外傷性の鈍的損傷のいずれに対しても、同様の手順を使用します。

この手術を行うには4~6時間かかります。この手術の後は、数日間集中治療室に入り、その後さらに数日間入院することになります。手術後は通常、以下の入院期間が必要になります。

  • 胸部大動脈瘤: 集中治療室に3~7日間入った後で、8~18日間入院する
  • 胸部大動脈解離: 8~20日間集中治療室に入った後で、10~28日間入院する
  • その他の病変: 10~15日間集中治療室に入った後で、10~20日間入院する。患者様が他にも怪我をしているかどうかによっては、体の他の部分の怪我の治療を行うために、集中治療室又は病院にこれより長い期間滞在しなければいけない場合があります。

担当される先生は手術の内容を患者様と相談し、患者様の体の状態に基づいて、どのくらいの入院期間が予想されるかをお知らせします。開胸手術を受ける場合、回復するまでに12~24週間が必要になります。

回復までの期間は、血管内治療の場合よりも長くなることが予想されます。この手術は大きな手術ですので、手術に関連していろいろな問題が起こる可能性があります。血管内治療と比較した場合の、開胸手術のメリットは次のとおりです。

  • 恐らくは、大動脈の同じ部分に追加手術を受ける必要がない。
  • 生涯にわたって画像検査を受けるために、担当される先生のもとに通い続ける必要がない。
胸部大動脈瘤のステントグラフト治療について